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忠海の祇園祭みこし行事
(ただのうみのぎおんさいみこしぎょうじ)
独特のみこし回しが呼び物の開発八幡神社の祭りである。みこしを担いでただ練り歩くといったありきたりなものでなく,男性的で荒々しい。勢いよく右や左に傾ける「座り担ぎ」「立てり担ぎ」,空中高く差し上げる「とっちゃげ」,みこしの腹を見せるように片側の担ぎ棒を宙に突き上げて回す「たて回し」。重さが600キロもあるとは思えないほど自在に操り,若衆の心意気を見せる。
祭りは本来,7月14日に決まっていたが,最近はその前後の日曜日に行われる。この祭りの主役が“こっ(輿守)さん”と呼ばれる,この年,二十歳を迎えた若者たち。先輩の指導を受けて,寄付集めから祭り当日のさい配まで一切を取り仕切る。若者はこの役目を終えて,初めて一人前として認められるという一種の成人儀式でもある。
当日は午前6時にJR忠海駅前近くのお旅所を出発。町内の各戸を回って勇壮なみこし回しを披露し,商店などではみこしごと店内に入り込み,頭から清酒をかけてもらう。若衆ばかりでなく,先輩の力自慢が応援する。午後3時からは駅前大通りで模範演技が行われる。黒山の人垣の中でベテランたちが型を披露し,いよいよ主役の登場。赤,青,黄色のモールなどでできた猿と呼ばれる縁起もので飾り立てた法被を着た“こっさん”が,威勢よくみこし回しを見せ,猿をちぎって見物人にばらまき,祭りは最高潮に達する。「まわす祇園で若衆が勇む いきな西若東若 こっさんかわいや背中の猿に 娘心が鈴となる」と祇園まつり歌にも歌われる自慢の行事。この後もみこしは町内を回り,夜もふけた午後10時,神社に帰る。
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