管絃祭（かんげんさい）
| 広島県立第一高等女学校（現広島県立皆実高校）４年生、１６歳で被爆した竹西寛子の「儀式」に続く長編第２作目として昭和５３年（１９７８）に刊行された。 「父といわず母といわず、火に追われ、火に焼かれた友達といわず、この世に生を享けた（うけた）者誰一人として逃れることのできなかった死が自分にも訪れる時を、有紀子はこの管絃祭のはなやぎにいて、いまだかつておぼえのない切実さで思い描いていた・・・・・・」 この主人公、有紀子は作者自身の分身。その家族や家に出入りした人たちの、さまざまな原爆体験と原爆以後が語られる。 管絃祭の楽をかなでる楽人の姿に”広島の死者”が二重写しになって見え「彼等は微笑んでいるようにも、しかし又涙しているようにも見える」という終章は美しくもの悲しい。 |
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