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黄葉夕陽村舎詩(こうようせきようそんしゃし)

 春に入り 春尚浅し 
 己覚ふ 寒威を解くを
 柳影 晴靄に揺れ 
 梅花 夕(せっ)きに立つ 
 風和し 鶯始めて出で 
 水暖み 雁将に帰んとす 
 我も亦閑歩を思ひ 
 突嗟の老 伴の稀なるを 
 (原文は漢文)
 この詩は、「早春作」と記され、巻8に収められている文政元年(1818)作者71歳の折りの作品である。天明年中(1781〜89)からその没年である文政10年(1827)までの作詩2,300編余が、ほぼ編年式に収められており、茶山その人を研究するうえでの好資料であるといえる。
 その詩集の内容は、神辺あたりの人々の生活や四季折々の風景を詠んだものを中心に、友人知己を回顧したもの、紀行詩などからなっており、その作風は前代の唐詩の模倣と異なり、「実境を写し、実感を歌う」ことを信条とし、情と景をほどよく備えた清新・穏健な詩であった。
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