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瀬戸内海の子供ら
(せとないかいのこどもら)
主人公の田尻振次郎は、東京の造船会社の出張で郷里の瀬戸内海の小島に50日間滞在する。女教師との恋愛を縦糸とし、彼を迎える母親、兄・姉夫婦それぞれの生活と心理を横糸にした三幕ものである。11人の登場人物は、精選されたセリフによって、人それぞれの性格、人物像が浮き彫りにされ、小山戯曲の冴えを見せる。
作者は、かつて次のように語ったことがある。
「僕が福山に育っただけで瀬戸内海を舞台にしているわけではない。美しい自然の中に流れる生活の哀歓、風習、気質のうちから人間そのものを追求したいのだ」
劇作家になった動機については「子供のころから洋楽の好きな叔父の影響を受け、どうしても作曲家になりたかった。しかし慶応の学生時代、チェホフの『三人姉妹』を見て感動し、志望をかえた」と話したが、同郷井伏鱒二の影響もあった。
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