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児を盗む話、清兵衛と瓢箪
(こをぬすむはなし、せいべえとひょうたん)
「児を盗む話」は大正3年(1914)「白樺」に発表した小品。「清兵衛と瓢箪」は、その前年、読売新聞に発表した。
「清兵衛と瓢箪」について、作者は「創作余談」で、「尾の道から四国へ渡る汽船の中で人がしているのを聴き書く気になった。材料はさうだが、書く動機は自分が小説を書く事に甚だ不満であった父への私の不服で、中に馬琴の瓢箪といふのが出て来るが、事実では山陽の瓢箪なのをなぜさう変えたかといふと、尾の道へ来る前、父が『小説などを書いて、全体どういふ人間になるつもりだ』といった時、『馬琴でも小説家です。云々』こんな事を私は云った。父が馬琴好きで・・・」と記している。
「児を盗む話」については、「続創作余談」で、「尾の道生活の経験で、半分は事実、児を盗むところからは空想」と記し、「多少愛着を感じていたこの小説中の描寫は『暗夜行路』の前編に使って了った」と述べている。
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