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暗夜行路
(あんやこうろ)
「暗夜行路」は、文豪志賀直哉の唯一の長編であり、志賀文学の最高峰を示す最も大切な作品であるといわれる。
彼は大正元年秋、尾道に来て、同市の土堂町宝土寺上に仮寓し、「暗夜行路」の前身「時任謙作」を記し、翌年1月「清兵衛と瓢箪」を読売新聞に発表、7月、尾道より帰京している。彼が「続創作余談」で、「私は作品によって、楽に出来る事もあるが、時々随分手古摺る事がある。『暗夜行路』は中でも手古摺った物と云へるが、本統に手古摺ったのは、『暗夜行路』の前身である『時任謙作』という所謂私小説の時だった」と記し、彼の当時の苦しい心境がるる述べられている。
この小説は、尾道などのすぐれた風景描写によっても有名である。色々な場所の描写が彼のすぐれた文章によって、美しく、ぬくもりをもった瀬戸内の、風情に満ちた町尾道として描かれている。
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