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吉水亭(きっすいてい)

 天明2年(1782)2月、加計村(現安芸太田町)の森脇弥右衛門が建築に着工し、8月に落成したもの。数奇屋(すきや)風、茅(かや)葺きの平屋で、内部は2畳と4畳に分かれる。2畳の間は一段と高間に作られ、しょう洒(しゃ)な線の高欄(こうらん)をめぐらしており、この室から庭の眺望は最もよい。この高間から自然林を背景とする庭を眺め、山河の借景を遠望する配慮は入神の技とたたえられた。
 吉水亭は、元々、芸北きっての鉄山経営者佐々木八右衛門正任(加計家16代)が、天明元年、このあたりの地形が、おのずから築庭の態をなしているのをみて、造った庭園(吉水園(よしみずえん))の主要建物である。
 天明8年、広島の縮景園を改修した京都の庭師清水七郎右衛門を招き大改修した吉水園内には、吉水亭をはじめ、金屋子(かなやご)神社、薬師堂がある。亭の前には、約100坪(330平方メートル)ほどの池があり、その池のほとりのサツキやカエデの枝や草むらの中には、5月下旬、県天然記念物のモリアオガエルの産卵がみられ、産卵後1週間でカエルの生態が容易に観察されるとして研究者などの関心の的となっている。
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