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西条の酒蔵
(さいじょうのさかぐら)
山陽本線、国道2号を走る車窓に、酒どころ西条の酒蔵と、酒名を白く鮮やかに描いた煙突を望む。心和む景観である。賀茂台地の穀倉地帯を周辺に控え、台地ににじみ出る清泉に恵まれて、多くの銘酒を生み出している。
町中の酒蔵は、豪壮な構え。名水井戸や守護神を配置する庭からじかに、ほの暗い蔵に入ると、大きな梁(はり)が縦横に交差し、高い屋根を支えている。ぷんと鼻をつく醸されている酒のにおい。この芳醇(じゅん)な香りが、蔵の外まで漂っている。
酒蔵は、高層である。壁は厚く塗られ、窓は小さく、夏でも冷んやりとする。冬は酒造りに使い、春から秋は、酒を貯蔵するのに使うところだから、なるべく外気温の影響を受けないような構造になっている。
1つの酒蔵を見て外に出ると、隣接する酒蔵、民家を挟んでまた酒蔵が建つ。屋根は大きく、西条地方に昔から製造されてきた赤い地瓦で葺くものが多い。屋根を見上げると、その空に、別の酒造場の煙突が見えたりする。
外壁は、高く、露地に沿って長い白壁である。切り妻には、杉の酒ばやしを吊(つる)す。県内では「杉玉」というところもある。
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