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浄土寺本堂・多宝塔ほか
(じょうどじほんどう・たほうとうほか)
尾道水道を見下ろす山腹にある真言宗寺院である。寺伝では、聖徳太子の創建とする。中世、当寺には、港町尾道の繁栄を背景に多くの堂塔が建立された。嘉元(かげん)4年(1306)の定証起請文(きしょうもん)によると、本堂・五重塔・多宝塔・地蔵堂・金堂などが既に整備されていたが、正中(しょうちゅう)2年(1325)、火災のためすべてを焼失した。現在建物はその後に再興されたものである。
本堂は、道蓮(どうれん)・道性(どうしょう)の発願によって嘉暦(かりゃく)2年(1327)に造られたもので、瀬戸内海地蔵折衷様建築の代表とされる。多宝塔は、元徳元年(1329)のもので、高野山金剛三昧院(こんごうさんまいいん)や石山寺のものと並ぶ名塔である。やや遅れる康永4年(1345)の阿弥陀(あみだ)堂は落ち着いた意匠の建物である。山門も室町初期を下らぬ秀作である。裏に回ると、茶室露滴庵(ろてきあん)がある。このほか、石造物として、弘安元年(1278)在銘の納経塔や、南北朝期の2基の塔がある。本堂と多宝塔が国宝、その他もすべて重要文化財である。
これら文化財建造物が集中して保存されている様(さま)は壮観である。
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