広島県の文化資源画像

不動院金堂(ふどういんこんどう)

 桁(けた)行三間、梁(はり)間四間、裳階(もこし)付き、入母屋(いりもや)造り、杮(こけら)葺き、現存する中世唐様(禅宗様)の建築として我が国で最大の遺構である。
 屋根の反りの具合も全体によく調和している。正面一間通りを吹き放しとした意匠は、中国大陸における手法、あるいはその流れを汲む日本の中世五山仏殿の手法を受け継ぐものと考えられている。天井には、天女と竜の絵が描かれ、「天文九庚子年往山前建長心月痩受竺」「天文九庚子冬十月日僧永怡画而寄付」と讃がある。この建物の創建もこの頃と考えられる。細部の手挟み(たばさみ)や海老虹梁(えびこうりょう)・桟唐戸(さんからと)・扇垂木(おうぎたるき)・須弥壇(しゅみだん)・花頭窓・柱(粽(ちまき)形式)など、繊細で装飾性に富んでいる。広島市内でただ1つの国宝である。堂内の御本尊である薬師如来坐像(にょらいざぞう)(重要文化財)は、定朝(じょうちょう)様式(定朝は11世紀前半に活躍し、和様の彫刻を大成した名仏師)の秀作である。
この金堂は、大内義隆が周防(すおう)国山口に建てたものを、僧・安国寺恵(え)けいが移築したものといわれている。
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