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六の原製鉄場跡
(ろくのはらせいてつじょうあと)
広島県の北部には、近世以降の砂鉄を原料とし木炭を燃料としたたたら吹(ぶき)製鉄の跡が多数ある。広島県民の森の中央広場は、背後に金屋子(かなやご)神をまつる祠があり、その前面がゆるやかに傾斜するが、この広場の中央あたりに、六の原のたたら跡が位置する。
昭和47年(1972)、県民の森造成工事に伴う調査を広島県教育委員会が行った。地上の炉部分は既にないが、炉の地下にある床釣(とこつり)の施設が残っていた。床釣の下部は比較的簡略化されたものであるが、本床、小舟(こぶね)など本床釣の遺構はよく残っていた。この東側では1部分重複して古い本床釣も明らかにされた。
たたらの西南約200メートルの地点には、砂鉄採取のための鉄穴流(かんななが)しと呼ぶ遺構があり、当初は砂鉄採掘の切羽(きりは)もあったが、現在は砂溜・大池・中池・乙池(おといけ)・洗樋の最終工程のところが残っている。ここでは、大池、中池、乙池が2本平行してあるところに特徴がうかがえる。交互に砂鉄採取のできる大がかりな装置である。今これらの遺構の上に砂をかけて保存した後、その上部に当時と同じような施設を復元し、実際に鉄穴流しができるようにしてある。
なお、県民の森にいたる途中の一の原にも、床釣の施設がある。
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