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西条盆地の赤瓦民家(さいじょうぼんちのあかがわらみんか)

 西条盆地一帯には赤瓦を葺いた白壁の家を多く見ることができ、この地域の特徴的な存在となっている。
 これは、明治時代末から昭和初期にかけて茅葺や藁葺であった多くの民家や農家が赤瓦葺の屋根に建て替えられたためである。
 これら赤瓦屋根をもつ民家は同時に居蔵造りと呼ばれる建築がされており、これもまたこの地域のもう1つの特徴となっている。
 そもそも茅葺が赤瓦に替えられたのは、『芸藩通志』によると「この地方に多く油石を製するなり」と記載されているように、丈夫な釉土石が生産されていたためであり、そのことが瓦葺への機運を盛り上げたのである。
 瀬戸内海沿岸の黒瓦の民家を見慣れている者にとっては、赤瓦屋根、入母屋、納屋、倉、門などで構成されている色彩と周囲の田畑や丘陵地とのみごとな調和に強い印象を受ける。
 これらの赤瓦は、河内〜本郷間で再び黒瓦に変わっていくのである。
 東広島市では、学校や公民館でも積極的に赤瓦を使用するなど、この地域の景観保全に取り組んでいる。
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