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古寺めぐりの坂道(こじめぐりのさかみち)

 尾道は、南は尾道水道に面し、北に山を背負って平地に乏しい。すでに今川了俊も『道ゆきぶり』の中で、応安4年(1371)の尾道の状況を、山の麓に家々が所狭しと立ち並び、網干す庭も少ないと描写している。現在、JR山陽本線はその市街地のほぼ中央を東西に走りぬける。
 北側の山腹には、市街地を見下ろすように本瓦葺き、朱塗りの堂塔が点在している。浄土寺・西国寺(さいこくじ)・西郷寺・天寧寺・千光寺をはじめ各宗派のさまざまな建築様式の建造物は、落ち着いた町並みとあいまって、中世以来の港町のたたずまいをとどめている。その寺々を連ねるのは、生活道にもなっている昔からの狭い坂道と小路である。
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