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男鹿山のスズラン
(おじかやまのすずらん)
福塩線上下駅に下車して旧甲山町(世羅町)に通ずる道を南下すると、やがて前方に左右に並んだ円錐形の山が見えてくる。左が女鹿(めじか)山、右が男鹿山である。ともに花崗岩の基盤を貫いて流出した玄武岩丘で、前者は海抜620メートル、後者は634メートル、付近の平野との比高は200メートル内外である。
男鹿山の頂上近くの北斜面にスズランが自生しており、県天然記念物に指定されている。スズラン自生地付近の植生は、上層にクヌギ、コナラ、ヤマツツジなどが生じ、草本層にはススキが優占している。
スズランは、北海道、本州、九州に分布する多年生草本で、本州中北部の高原や北海道の草原には普通に見られるが、近畿、中国地方では珍しく、九州では極めて稀である。広島県では、県北の山地の所々に見られるが、県中部以南では稀で、ここ男鹿山と東広島市福富町の鷹巣山に知られているだけである。5月頃、白色で芳香のある広鐘形の花を、花茎の片側に総状につける。
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