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筒賀の大イチョウ(つつがのおおいちょう)

 大歳(おおとし)神社の鳥居をくぐってまもない左側に県内第2位のイチョウの大木(雄株)があり、県天然記念物に指定されている。胸高幹囲8メートル、樹幹はほぼ直立し、高さ約50メートルにも達する。幹から乳房状の突起が何本も垂れ下がって、老樹の風格を示し、昔から神木として畏敬されている。11月上〜中旬に黄葉して落葉するが、その早い遅いによって、その年の冬の寒暖、雪の多少を予測することができるといわれている。
 治承の昔(1177〜1180)、薩摩守池田左衛門(いけださえもん)という実直な男が、農業に対する志が厚く、この地域の開墾を心掛けていた。ある日、このイチョウの木の下に来ると、どこからともなく一羽の白い鶴が稲穂をくわえて飛んできて梢(こずえ)にとまった。やがて鶴はその稲穂を左衛門の前に落して飛び去った。左衛門は不思議に思い、その辺りを調べると適潤で肥沃な土地であった。そこで彼は、これは神のお導きであると信じて開墾し、稲を作ったところよく実ったので、イチョウの樹下にほこらを建て「銀杏(いちよう)の宮」と称したと伝えられている。大歳神社は、また落穂(おちぼ)大明神ともいわれ、その祭神は天真鶴命である。旧筒賀村は初め「つるがの里」と呼ばれ、それが訛って「つつが」になったという。
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