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唯称庵跡のカエデ林(ゆいしょうあんあとのかえでりん)

 五龍城跡の麓を流れる本村川の右岸にある唯称庵跡沿いの川土手、および元敷地内に約40本のカエデが生じている。文政6年(1823)、唯称庵主の本励上人が京都の紅葉の名所高尾から苗をとりよせて植栽したと伝えられている。唯称庵境内の風致および本村川に対する護岸のため植えられたものと思われ、少なくとも川土手に並んでいる木の大部分は、その時代からのものであろう。
 イロハモミジ(タカオモミジとも呼ばれる)が主で、一部にヤマモミジも見られる。ヤマモミジは本州の日本海側系の種で、イロハモミジより葉がやや大きく葉柄も長い。また、イロハモミジの葉が5〜7裂であるのに対し、ヤマモミジでは7〜9裂する。
 川土手約100メートルにわたって生じている25本の木は大きく、大部分のものが目通り幹囲1メートル以上で、最も大きな木は2.3メートルにもなっている。元敷地内にある木は小さく、大部分が目通り幹囲1メートル以下で、後代に植えられたものと思われる。いずれも植栽されたものであるが、長い年月、この土地の風土によく適応して立派に育ち、景観上価値の高い美しいカエデ林になっている。県史跡五龍城跡の一翼をなす風致地区としても重要な存在である。
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