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紅葉谷公園のモミジ(もみじだにこうえんのもみじ)

 宮島は、厳島ともいわれ、多島美を誇る瀬戸内海にあって、古くから松島、天の橋立とともに、日本三景の一つに数えられる美しく神秘的な神の島である。
 紅葉谷公園は、その名の通り全国でも屈指のモミジの名所、天然記念物に指定(昭和4年<1929>)されている弥山(みせん)原始林の麓にある森閑(しんかん)とした自然型の公園で、弥山の奥深くに源を発する紅葉谷川の渓谷に拡がる園池には、明治初期に植栽されたといわれるイロハモミジ、ヤマモミジ、ウリハダカエデなどのモミジ(カエデ)、マツ、モミなど一段と緑濃い種々の樹木に覆われて、四季折り折りにその装いをかえて、訪れる人にその風情を楽しませてくれる。
 『芸藩通志』には、この景色を「樹石蒼古にして、一区の幽境なり」と表現している。
 なかでも秋の紅葉の季節は、紅葉谷公園に映える各種のモミジが多少の時期をたがえ、それぞれ微妙な色彩の変化を見せて燃えるような紅葉の美をかもし出し、大鳥居と社(やしろ)の朱と競って鮮やかな紅(くれない)に染めあげる景観は、宮島を訪れる人を驚嘆させる。
 とくに、清流のせせらぎに耳をすませ、朱塗りの影を落とす紅葉谷橋一帯の眺めは抜群である。
 なお「モミジ」は「県木・県花」。
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