広島県の文化資源画像

べにまんさく湖畔のベニマンサク(べにまんさくこはんのべにまんさく)

 旧大野町渡瀬貯水池付近から旧佐伯町友田にかけての山地の湖畔や谷すじなどにべニマンサクがかなり多く自生しており、県天然記念物に指定されている。最も容易に観察できる場所は、貯水池の東側にある「おおの自然観察の森」のべにまんさく湖付近である。
 本種は、マンサク科に属する落葉低木で、別名マルバノキともいう。中部地方と滋賀・高知・広島県の一部とに飛び離れて不連続分布する興味深い植物である。土地の人々は、俗にマルバシャ、またはニへギ、最近はバンノキ(マルバノキがつまったものか)と呼び、鴉(からす)が岡(おか)付近の群生地をバンノキ谷と称している。
 高さは1〜3メートル、葉は円い心臓形で全緑、マメ科のハナズオウの葉にそっくりである。晩秋、深紅(しんく)色に色づいて美しい。紅葉と同じ頃、短い枝に星形をした暗紅色の花が二つずつ背中合わせに咲く。
 中国大陸に本種に極めて近い種類が分布しており、そこでは「双花木」と呼んでいる。花が二つずつ対になっているからである。花にはドクダミに似た匂いがあり、その形や色は妖艶な感じがする。紅葉する頃開花する性質も一風変わっている。
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