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熊野神社のシラカシ
(くまのじんじゃのしらかし)
芸備線八次駅の北方約1.5キロメートルの小さい谷の出口にある熊野神社の拝殿東南方に、県天然記念物に指定されているシラカシの大木がある。主幹の胸高幹囲は5.3メートル、樹高は約28メートルである。主幹はほぼまっ直ぐに伸び、地上約5メートルで北側にやや大きい枝を出し、さらに約2メートル上で二支幹に分かれる。枝条はよく茂り、枝張りは東西、南北とも18メートル内外である。主幹の内部は、根元から二分岐する所まで空洞になっているが、樹勢は旺盛で、下方の枝には人の頭上近くまで垂れ下っているものもある。
シラカシは、本州(宮城・新潟県以西)、四国、九州、済州島および中国大陸中南部に分布する常緑広葉樹で、広島県内では東部の内陸域に多く見られる。ウラジロガシによく似ているが、葉の裏はそれほど白くなく、ほとんど無毛である。材が灰色〜淡褐色であるのでこの名がある。
シラカシの単木、または樹木群で県天然記念物になっているものが他に2件あるが、いずれも熊野神社のものほど大きくない。本種が優占している社叢(しゃそう)は県内各地に見られ、庄原市の「諏訪神社のシラカシ林」、「領家八幡神社の社叢」(いずれも県天然記念物に指定されている)は、その代表的なものである。
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