「ことば」は生活文化の代表的なものでしょう。とりわけ、方言は、長い暮らしの歴史の中で各地域独特の言い方として伝承されてきており、興味深いものがあります。メディアが発達した今日、かつては当たり前のように使われていた方言の中には、今ではほとんど使われなくなったものもありますが、それらも含めて代表的な「広島県の方言」のいくつかをご紹介します。
『春じゃけえ、花見に来んさい』(春だから花見に来なさい)
「だから」の意味の『じゃけえ』『じゃけん』
「しなさい」「来なさい」などの「な」が「ん」になり、『しんさい、来んさい』に。
「ねえ」という付け添え語が『のー』になって、『ほーよのー』と答えれば、花見の誘いへの「そうだねえ」という答えになります。アクセントはほとんど後ろ付けです。
また、広島県の方言の中の地域別特徴を、昔の人はこう表現しています。「備後バーバー、広島(安芸)ガンス、呉チョル、尾道アリャンス、県北ツカイ」
これを説明すると、「ございます」→『がんす』(広島)、『ありゃんす』(尾道)
「している」→『しちょる』(呉)
「して下さい」→『つかあさい』(県北)
「ちょっとだけ」→『ちいとばあ』(福山)
このような言葉は最近ではあまり使われませんが、広島の風土が育てた言葉は、若い世代にも継承されています。