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三之瀬の棒の舞祭り(さんのせのぼうのまいまつり)

 例年、10月12日直前の日曜日、三之瀬の森之奥厳島神社で行われる下蒲刈島では最大の秋祭り。昔から若者が取り仕切ってきたが、呉方面への流出に伴い担い手が減少したため、昭和52年に三之瀬地区の全世帯が参加して文化郷土芸能保存会を結成。伝統行事の継承に努めている。
 前夜祭では、昭和55年からみこの舞が復活。下蒲刈小学校5、6年生の女子児童10人が、あでやかな舞いを披露すると、今度は5匹の鬼が登場。カシの棒をかついで地区内を練り歩き、子供たちを追い回す。鬼4匹が太鼓の上に乗って、棒を使う"棒の舞"も有名。鬼に出会えば健康でいられるとの言い伝えから、乳児を持つ母親らは鬼の所へ連れてゆく習わしがある。
 圧巻は神幸(みゆき)。獅子(しし)を先導役にやり持ち、鉄砲持ち、俵みこし、大太鼓、みこし、巫女(みこ)、太夫(たゆう)とそのお供、そして年によっては花車などが続く。小、中学生と若者を中心に総勢約150人。大名行列の要素を加えた独特のみこし巡幸である。約2キロのコース途中では、巫女や鬼が舞を競い合ったり、神社へ戻ろうとするみこしを太鼓隊が阻んでもみ合ったりと、各種の見せ場が織り込まれているため、巡幸は約8時間がかり。その間、地区の人たちの大部分が行列の後ろをついて歩く。
 波静かな蒲刈の瀬戸に沿って繰り広げられる勇壮で優雅な秋祭り。島を離れた若者たちも、この日ばかりは正月や盆の休みと同様に帰郷。見物の輪に加わるほど楽しい行事になっている。
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