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弓祭り(ゆみまつり)

 旧正月の9日に行われていたが、現在は1月最後の土曜日に宇津神社の境内で行われる。大小の的に破魔矢を射て、悪鬼退散、五穀豊じょうなどを祈願する。弓祭りは通称で、「初祭り百手(ももて)神事」が正式名称。大長ミカンの本場だけに「ミカン不況を射払い、豊かな実りを」の願いも込められている。
 午前9時半ごろ、白装束の宮司による「奉射神事」に続き、10人の射手が、紋付き、はかま、かみしも、白足袋で境内の弓道場に集まり、甲矢(はや)、乙矢(おとや)の2組に分かれて技を競う。射手は、お神酒(みき)で体を温めながら、寒気の中、片肌脱いで射続ける。夜の8時ごろまで祭りは続き、射手が放つ矢は1人60本以上にも達する。
 「キュン」「プス」。引き絞った弓から矢が勢いよく放たれ、25メートル先の的に突きささる。固定された直径8尺(約2.5メートル)の大的の前には、1寸2分(約3.6センチ)の金的を始め、扇、鬼の面など20種余の小的が、次々と掛け替えられていく。命中すると、肥料、クワなどミカンの島らしい景品が贈られる。矢が的に当たるたびに「ドーン、ドーン」と太鼓が打ち鳴らされ、見物人から盛んな拍手と声援が送られる。
 射手の若者は、大長地区の5つの区から2人ずつ選ばれる。祭りの一ヶ月前から毎晩、各区の師匠たちからみっちり手ほどきをうけ本番にのぞむ。射手のうち、初心者は特に「中立ち」と呼ばれる。以前は、この中立ちを経験した後、初めて一人前の社会人として認められる習わしだったという。往時は20人の射手で行ってきたが、現在は10人に縮小するなど、祭りは少しずつ変わってきている。
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