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阿賀のお漕船
(あがのおこぎぶね)
厳島神社(廿日市宮島町)の管絃祭は、管絃を奏しながらの御座船の渡御を行う、海の祭りとして知られている。その起源は、平清盛が都から厳島へ参詣する時、その船上で管絃を奏したことにあるとされ、江戸時代になってからは、現在のような3隻の和船をつなぎ合わせた管絃船になっている。
元禄14年(1701)、地御前(じごぜん)から帰る管絃船が、途中で激しい風雨に遭い沈没寸前になった。この時近くで漁をしていた阿賀(呉市阿賀)の鯛網船と、厳島神社に参拝しようとしていた江波(えば)(広島市江波)の伝馬船とによって救助された。それからは、阿賀と江波の漕船が管絃船を曳くようになった。
阿賀の漕船は、鯛網船に由来するため二隻で一組となり、それぞれの船には6丁の櫓(ろ)がある。また、江波の救助にあたった伝馬船は親船についているもので、漕船には小さすぎるため、江波にあった12丁の櫂(かい)をもつ救難船が漕船として管絃船を曳くようになった。
漕船は、厳島神社御用船と書いた高張り提灯を掲げ、船上では太鼓に合わせて采(さい)が振られ櫓櫂を操る調子を取っている。管絃とともに、櫓櫂のきしむ音、船上の音頭や木遣(きやり)唄の声も管絃祭に欠かせないものである。
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