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裸の島
(はだかのしま)
瀬戸内海の小さな島に一組の夫婦(映画では殿山泰司と乙羽信子)が住んでいる。男の子二人も。仕事は島のてっぺんまで続く段々畑の耕作である。この島には井戸がない。川もない。近くの島へ小舟を漕いで渡り、水をくんできて、その水を山頂まで天びん棒でかつぎ上げてまく。この作業の繰り返しが主題となっている。
子供が急病で死ぬ。医者が間に合わなかったためである。妻は思わず天びん桶を放り出して泣く。夫は何もいわず、妻をぶん殴って、二人はまた黙々と働き続ける。
旧佐伯郡石内村で14歳まで育った新藤は、農家の労働実態を自らの目に焼き付けている。さらに瀬戸内海の光と影が、どんな単調な物語をも飽かせぬほどの魅力があることも知っている。
作品の基調となる天びん棒のきしむリズムは映画の始めでも終わりでも変わらない。この映画が見る者を退屈させないのは、労働の本質をえぐって、人間そのものを問うているからである。
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