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さんげ(さんげ)

 太き骨は先生ならむそのそばに
 小さきあたまの骨あつまれり
 平和記念公園前の緑地帯にある「教師と子どもの碑」に刻まれているこの一首は、正田篠枝の歌集「さんげ」<昭和22年(1947)刊>の中の代表作。
 正田篠枝は、平野町(広島市中区)の自宅で被爆、川岸につないであった小舟で“炎の街”から宮島口へ逃れたが、その日目にした惨状を、ありのままに書きつづった100首を収めて、歌集とした。検閲の目を盗んで印刷、「死刑をも辞さぬ覚悟で」秘密出版したという。
序歌に
 死ぬ時を強要されし同胞の魂に
 たむけん悲歎の日記
とある。
 この歌集「さんげ」は、生々しい被爆体験を短歌によって伝えたものとして“原爆文学”のすぐれた遺産の一つとされている。
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