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福王寺の燈明杉(ふくおうじのとうみょうすぎ)

 可部の福王寺山(496メートル)の山頂近くにある真言宗の古刹(こさつ)福王寺の山門をくぐって石段を登り本堂の前へ出ると、すぐ右側にスギの大木(市天然記念物)が4本並んでいる。石段に近い2本には落雷による焦げ跡が上から下へ走っているが、樹勢はどの木も旺盛である。以前は5本あったが、昭和57年(1982)に真中の1本が枯れ、その切り株が残っている。
 帝国森林会編『日本老樹名木天然記念樹』(昭和37年<1962>)の記事に、「亀山林堂の対山に福王寺があった頃、弘法大師(宝亀5年〜承和2年<774〜835>)が入山して、対山である現在の福王寺山の杉の頂上に燈がついていたので、大師が燈明杉と呼んだのがこの名の起源であるという」と記されている。別のいい伝えによると、これらのスギは明徳3年(1392)に四世の良海僧正が植えたもので、信仰の篤い善人には、スギにともる「消えずの火」がよく見えるが、悪人には見えないのでこの名があるという。
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